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    楠山正雄訳、戯曲『サロメ』刊行しました!!
    ビアズリーのイラストも全18点に加え、ワイルドの似顔絵もプロフィール部分に入れています。しかし、この似顔絵を見るに、ビアズリーはワイルドの事、あまり好きではなかったのかな???

     

    さて、アマゾンの書籍で「サロメ」を検索すると……。


    こんな感じで他のサロメたちと仲良く並びます。左の赤いカヴァーは福田恆存氏訳のサロメです。これ、わたしも持ってますが傑作です。旧字旧仮名遣いなのですが、そこがまたサロメの妖しい雰囲気とマッチしていてすごく良いです。当然のようにビアズリーの挿絵も全て入っている所は、さすが岩波文庫だなと思います。カヴァーも没案のイラストを採用しているのがネタバレ防止にもなっていてすごく良い……。

    と、お伝えしたかったのはそちらではなく、真ん中の原田マハ氏のサロメのことでした。
    う〜ん……カヴァー、よく似てますね。ていうかパクリましたし(笑)。

     

    ……と言うのは、半分冗談で半分ホントなのです。
    当初カヴァーを作るとき「サロメと言ったら、血のような赤だよね〜」と思っていたのですが、どうもビアズリーのモノクロのイラストに赤がいまいち合わないんですよね……。岩波文庫のカヴァーは、文様イラストを加工して赤色でうまくいってるんですが、複雑なタッチの絵にはどうもしっくりこない。そもそも、白と黒だけでうまく構成しているビアズリーの絵に色が合うのか? でも確かどっかで色がついたビアズリーの絵を見た気がするぞ。で、ずいぶん昔に購入したビアズリーの画集を見直してみると……。

     

    発見、その名も「The Yellow Book」!!

    これは、イラスト満載の文芸誌で、ビアズリーが絵画部のディレクションをしていたものなのですが、その名の通りイラストの背景が全て真っ黄色で統一されています。
    確かに黒には黄色が合います。ビアズリー本人が付けた色なんだから間違いないです。

    という経緯でカヴァーの色を真っ黄色で制作したら、原田マハ氏のサロメとかぶってしまったというワケ。
    たぶんこちらの本も、同じ経緯で黄色にしたのでしょう。しかし思いっきりネタバレ感のある表紙が横に来るのがなんともはや……。

    ちなみに原田マハ氏の小説はワイルドとビアズリー、その姉で女優のメイベル・ビアズリーを中心とした謎解きミステリーらしく、こちらも面白そうな本なのでどこかで読んでみようかと思っています。

     

    さて中身の紹介でも……。

    昭和4年発行の『近代戯曲集』の中の楠山正雄氏翻訳のものから、テキストをおこしました。
    今回は、耽美、退廃、幻想、背徳的なサロメの雰囲気を出したかったので、部分的に漢字を旧字体のままにしてあります。
    例を挙げると「ヨカナーンの聲」とか「お前の體」などです。「ヨカナーンの声」「お前の体」じゃあちょっと間抜けですしね……。

    楠山氏は児童文学の翻訳のほか戯曲の翻訳も専門らしく、こちらも前回の「青い鳥」同様、なかなかの名訳です。福田恆存氏の訳に比べると良くも悪くもややスマート(現代的)な印象です。楠山正雄氏の訳文を読んでいていつも思うのは「ずいぶん古い翻訳なのに、新字新かな遣いに改めればほとんど現代文だよなぁ」という事です。(たまに死語や、関東?の方言がまじりますが)

    「翻訳には賞味期限があるんです」なんて言っていた方がいましたが、古い名訳を読んでいると、ひょっとして先人の翻訳者への配慮の言葉だったのかなぁ、などと思ったりしています。

     

     


    四、五ページに一度は挿し絵が入ってくる感じです。色数制限のない電子書籍なので、すべて真っ黄色の背景にしてみました。やり過ぎかしら!?

    耽美、退廃、幻想、背徳……世紀末文学の問題作を、楠山正雄氏の名訳でぜひ御覧ください。

     

    オスカー・ワイルド 1854年10月16日―1900年11月30日
    オーブリー・ビアズリー 1872年8月21日―1898年3月16日
    楠山正雄(くすやま・まさお) 1884年11月4日―1950年11月26日